
沖縄では、ごく普通の生活を送っていても三線の音色をよく聞きます。誰もが知っている曲はたくさんあるのですが、特に「かぎやで風」は覚えておいて損はなさそうです。早速ご紹介しましょう。
かぎやで風とは?
「かぎやで風」は、結婚式などの祝宴の冒頭に踊られます。なぜお祝いの席で踊られるのかと言うと、理由は歌詞を見るとわかります。歌詞をご紹介しますと
今日の誇らしゃや
なほにぎやなたてる
蕾で居る花の
露きやたごと
上の歌詞の意味は以下のようになります。
今日の誇らしい日は
何にたとえる事ができるだろう
蕾がついたお花に
露がついたようだ
結婚式にふさわしい曲だとわかりますね。結婚式の場合は、新郎・新婦のご親戚の方が踊ることが多いようです。
結婚式に限らず、学校の創立記念日の式典や成人式の式典、十三祝い、カジマヤーなどの時も披露されます。
もちろん、お正月も「かぎやで風」の曲がよく聞こえます。首里城ではお正月のイベントとして、伝統の舞踊が披露されましたが、この時も「かぎやで風」からスタートしました。
沖縄の伝統舞踊を琉舞と言います
沖縄の伝統舞踊を琉舞(琉球舞踊)と言います。琉舞は総称で、古典舞踊、雑踊り、組踊、創作舞踊などがあります。日本舞踊とも異なる独特のリズムと、華やかで幽玄な感じがとても魅力的です。
琉舞のルーツは神祭りや神歌で、やがて中国からの使者の冊封使(さっぽうし)を歓迎するために披露され、発達したと考えられます。琉球王府は「踊奉行(おどりぶぎょう)」という役職を設けていたそうで、いにしえの時代から琉舞を大切にしていたことがわかります。
「かぎやで風」は古典の曲なので、とてもゆっくりな曲なのですが、歌うのも、三線で演奏するのも踊るのも実は難しいのです。でも覚えておきたい曲なので、琉舞の教室もありますし、練習用のDVDなどもたくさん販売されています。
3月4日は一斉に演奏される!
3月4日は、「さんしんの日」です。この日は、正午の時報とともに読谷村の文化センター鳳ホールでは、舞台上と客席で一斉に「かぎやで風」を演奏します。
演奏家も一般客も一斉に「かぎやで風」を奏でるのは鳥肌が立つくらい感動的ですが、このイベントは鳳ホールだけではなく、沖縄県の各地で、いえ県内外で、国の内外で一斉に演奏されているのです。
世界中の人が心をひとつにして、同じ曲を演奏するのはとても壮大なロマンと言えます。平和でないと音楽は奏でられませんから。
シメはカチャーシー
お祝いのスタートが、きっちりした「かぎやで風」なのに対して、宴席のシメは「カチャーシー」です。
カチャーシーはかき混ぜるの意味で、両手をあげて空気をかき混ぜるようにして踊ります。こちらは踊りに特に決まりはないのが特徴で、「かぎやで風」とのギャップも興味深いです。
結婚式なら誰もが一緒になって踊りますし、那覇のお祭りの「那覇大綱挽」も「一万人エイサー」も最後にカチャーシーを踊ります。出演者も観客も、地元民も旅行者も、へだてなく一緒に踊るのは素晴らしいですね。「みんなで喜びをわかちあうこと」を全身で表現しているのだと思います。これこそが「お祭り」の神髄だと思います。
意味が分かってから「かぎやで風」の踊りを見ると、また違った感慨がありますね。