
先日、知人のお子さんが1歳の誕生日を迎えました。また那覇在住の友人には赤ちゃんが生まれました。私のまわりは、お祝いムード満点の今日この頃です。沖縄では、1歳のお祝いに「タンカーユーエー」をします。 タンカーユーエーとはどのような行事なのか、やり方はどうするのかをご紹介。
タンカーユーエーは将来を占う伝統行事です
タンカーとは「1歳の誕生日」、ユーエーは「お祝い」の意味なので赤ちゃんは男の子も女の子も同じように行います。
タンカーユーエーとは、赤ちゃんが選ぶアイテムによって、どんな将来になるのか、どんな職業につくのかを占う行事です。
並べるアイテムは、沖縄県内でも地域によって異なるようですが、だいたいこんな感じです。
- そろばん・・・商売上手になる
- 本・・・頭がよくなる
- 筆・・・役人になる
- 赤飯・・・食べるものに困らない
- お金・・・お金に困らない
今はそろばんや筆が常備されている家庭も少なくなってきているので、電卓やペンに代用されています。赤飯の代わりに白いご飯でもOKです。
さらに現代風にアレンジも加わって、そろばんじゃなくてスマホだったりします。最初にひとつ取ったところで終わりにしたり、全てのものを取り終わるまで続けることもあります。特にこうじゃないとダメって決まりはなさそうです。
占いが当たるかどうかより、赤ちゃんが無事に誕生日を迎えられたことをお祝いし、健やかな成長を願う行事ですから、ゆるくていいのでしょうね。
沖縄では、このタンカーユーエーが親戚一同が集まって披露されます。ハイハイやヨチヨチ歩きの赤ちゃんが並べたアイテムのところまで進んで選ぶ様子はとても可愛らしく、微笑ましいですね。
このほのぼのしたお祝いを親戚一同集まって行うのは、とても沖縄らしいと言えます。親戚が集まってオードブルや中身汁などを食べながらにぎやかにお祝いしたり。中にはホテルで行う家庭もあるとか。
もちろん、沖縄に引っ越した方が家族で行ってもいいです。以前は、沖縄モノレールのゆるキャラであるゆっぴーが1歳の誕生日の時に県庁でタンカーユーエーをするイベントもありました(笑)
本土にもあった選び取り
本土では1歳の誕生日のお祝い行事として、「一升餅」があります。これは一生と一升をかけていて「一生食べ物に困らないように」「これからの一生が健やかであるように」との願いが込められています。
私は一升餅のお祝いしか知りませんでしたが、本土でも”選び取り”と言って、タンカーユーエーと同じような行事をすることもあります。アイテムは、筆、そろばん、お金が基本のようですが、ハサミ、定規、ボールや楽器なんてこともあります。これじゃないとダメ!って決まりがあるわけではないので、家の中にあるもので、赤ちゃんが危なくないものなら、なんでもいいですね。
海外にも似たような行事が
タンカーユーエーって沖縄だけの行事ではなかったのかと思って調べてみると、海外にも似た行事がありました。
韓国
韓国では「トルジャビ」と呼ばれていて、赤ちゃんの前に、車のおもちゃ、ゴルフボール、お金、小づち、マイク、鉛筆、糸の束などを並べて、赤ちゃんが選んだもので将来を占うものです。きっとこれも伝統的なアイテムと現代的なアイテムが混ざっているのでしょう。
中国
中国では「抓周(ジュアジョウ)」と呼ばれていて、赤ちゃんの前に筆や墨、そろばんやお金だけでなく、聴診器やネギ、セロリなどたくさんのものから選ばせるのが特徴です。アイテムは地域によって異なるようですが、野菜があるって面白いですね。
台湾
台湾では「抓周(ジュアジョウ)」と呼ばれていて、赤ちゃんのまわりにたくさんのものを並べて選ばせます。筆や墨、そろばんやお金、印鑑や聴診器などで、中国と似ています。発音は地域によって異なると思います。
沖縄で行われているタンカーユーエーは韓国、中国、台湾との行事とよく似ているので、もしかしたら、ずっと昔にこれらの国から伝わった行事なのかもしれませんね。ちなみに石敢當やシーサーも中国から伝わったものです。外国のものでも日本のものでも良いものは取り入れて、柔軟に変化していく様子は、とても沖縄らしくて良いなと思いました。