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沖縄の伝統・文化・歴史

沖縄にはシーサーよりもっとびっくりな家の守り神がいた!

投稿日:2018年2月5日 更新日:

シーサー

沖縄の守り神といえば、シーサー。地元では取り立てて珍しくもないシーサーですが、初めて見る人には、鋭い目つきと表情にびっくりすることも…。でも沖縄には、もっとびっくりな家の守り神がいます。

危険度0%の家の守り神【ヤールー】

沖縄では、「ヤールー」と呼ばれる家の守り神がいます。これは、シーサーのような空想上の生き物ではなく、実際に見ることも触ることもできる正真正銘の生き守り神です。

その正体は、ヤモリ。

ヤモリは、沖縄では方言で「ヤールー」と言い、沖縄では昔から家の守り神とされてきました。たしかにヤモリは、ゴキブリやクモなどの害虫を餌としているので、家を守ると言われればその通り。決して見た目的にはかわいい生き物ではないのですが、たとえ家の中で見かけたとしても、沖縄の人は決して駆除しようとはしません。

それどころか、ヤモリを見て思わず「ギャッ!」と奇声を上げて新聞紙を振り上げようとすると、「ヤールー(家守り)なんだからダメ」とものすごい勢いで怒られてしまいます爬虫類が苦手な人にとっては災難だと思うかもしれませんが、ヤモリは家の守り神ですから、ここは我慢するしかないですね。

沖縄で定番のヤールーはホオグロヤモリ

沖縄で見かけるヤールー(やもり)は、1種類だけではありません。「オキナワヤモリ」「ミナミヤモリ」などの姿も見ることができるのですが、一般的に沖縄でヤールーといえば「ホオグロヤモリ」が圧倒的に多いです。

ホオグロヤモリは夜行性のため、昼間は家の中でもめったに見かけることはありません。でも、夜になると一気に活動時間に入りますから、突然壁をよじ登っていったり、室内の観葉植物の陰から突然姿を現したりします。家の守り神と言われていますが、大きさとしては全長約10cm程度の比較的小さく、しっぽには棘があります。

不思議なことにホオグロヤモリのしっぽの棘は、切られてしまった後に生えてくるしっぽには現れません。もしもホオグロヤモリに遭遇したら、一度しっぽの部分を観察してみると面白いですよ。

「キュッキュッキュッキュッ」と鳴くヤールー

その場にじっとしたまま家を守ってくれるシーサーとは違い、ヤールーは「キュッキュッキュッキュッ」という鳴き声で存在をアピールする守り神です。たとえ姿を人前に見せなかったとしても、高音で連続的に「キュッキュッキュッキュッ」と鳴くので、初めてその鳴き声を聞いた人は、それだけで気味悪く感じます。

しかも夜行性のため、夜、リビングで一人のんびりと過ごしているときに、突然「キュッキュッキュッキュッ」という鳴き声を聞くこともありますし、夜中にトイレに行ったときに電気をつけたら壁にヤールーがへばりついているということもあります。

沖縄のヤモリはよく鳴くため、別名「ナキヤモリ」ともいわれています。そのせいか、移住してきた人の中には、姿を見たことはなくても、声だけは聞いたことがあるという人もいるようですよ。

主婦の味方!家庭の守り神【ヒヌカン】

沖縄には、仏壇にまつられる祖霊神(いわゆるご先祖様)よりももっと昔から信仰されてきた家庭の守り神「ヒヌカン」があります。そもそも祖霊神をまつる仏壇が沖縄の庶民生活の中に登場してきたのは、17世紀のこと。それまでは、沖縄には仏壇はなく、台所にまつられているヒヌカンがメインでした。

ただしヒヌカンを祀るのは一家の女性とされていて、男性はヒヌカンの祭祀にはかかわりません。男性には仏壇を祀る役目があり、仏壇の行事の際には、男性が中心となって行います。

ヒヌカンに関する神具はすべて白で統一

ヒヌカンは、日本全国でも見られる「かまどの神」のことです。現在では、台所に専用の香炉を置き、それをかまどに見立てて日々の信仰を行うのですが、もともとは、かまどそのものを拝んでいたといいます。

ヒヌカンを祀るときには、白い香炉を使うのですが、併せて花瓶や湯呑なども使います。この時、使う神具は、すべて白いものを使います。これは、神様が身に着ける衣装がすべて白色であるということに起因しています。ちなみに、ご先祖様が祀られている仏壇の香炉や仏具は、色や柄が入っているものを使います。同じ沖縄の神様でも、祭祀に使う香炉や道具の色や柄には、それぞれ違いがあるわけなのです。

ヒヌカンがあれば電話もメールも要らない?

ヒヌカンがなぜ沖縄の主婦たちから絶大な支持を得ているかというと、ヒヌカンにはとんでもない力があるからなのです。ヒヌカンは、神様同士の連絡役をしてくれる、とっても便利な神様です。ですから、ヒヌカン以外の神様にお願いがあったとしても、家のヒヌカンにお願いすれば、ヒヌカンが神様のところにメッセージを届けてくれます。これは、家事で日々忙しい主婦にとっては大助かりです。

ヒヌカンの力で驚くのは、これだけではありません。ヒヌカンは、それぞれの家のヒヌカンとも簡単に連絡が取れます。ですから、遠くにいる親戚に何かを伝えたいのであれば、ヒヌカンにお願いすると、家のヒヌカンが親戚のヒヌカンに連絡を取り、メッセージを伝えてくれます。これがあれば、電話もメールも、理論上では必要ありません。

ちなみに、実家と離れて暮らしていて、仏壇やお墓に手を合わせに行くことができない場合も、ヒヌカンさえあれば大丈夫。何しろ、ヒヌカンはどの神様にも接触することができるため、仏壇の祖霊神であっても、お墓で暮らすご先祖様であっても直接つながることができます。ですから、家にあるヒヌカンを通して手を合わせれば、仏壇や墓で手を合わせていることと同じになります。これはすごい!

便利だけどちょっと困った性格のヒヌカン

どんな神様ともコンタクトを取り、願いを伝えてくれるヒヌカンですが、1つだけ面倒なことがあります。ヒヌカンは、どんな願いでも神様に伝えてくれるのですが、言い換えれば、「なんでも神様に言ってしまう」という困った性格をしています。だから、ヒヌカンが祀られている台所で、うっかりと他人の悪口を言ってしまうと、ヒヌカンは、悪口を言った相手の家のヒヌカンに、その話をそのまま伝えてしまいます。

日本では、他人の悪口を言う事を諫めるために、「壁に耳あり障子に目あり」といいます。でも沖縄の主婦たちの間では、「台所にヒヌカンあり」の方が、よっぽど怖い!沖縄では、台所での井戸端会議も、十分に気を付けないと、知らない間にヒヌカンを通して話題がみんなに知れ渡ってしまうかもしれませんね!

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